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No.05
お笑い芸人 八木 真澄(サバンナ) YAGI MASUMI

「万日」に到達した景色を見るため。 極真の教えを胸に、芸人の道を全うする。

Profile
YAGI MASUMI

芸人。吉本興業所属。1994年に高橋茂雄とお笑いコンビ「サバンナ」を結成し、1997年に「ABCお笑い新人グランプリ」優秀新人賞受賞。1000個以上のギャグを持ち、運動能力の高さにおいても認知度が高く、テレビなどで活躍中。極真空手初段、柔道2段を有す。

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「千日をもって初心とし、万日をもって極みとする」。 その言葉が自分を支えてくれた。

僕がこれまで芸人を続けてこれたのは、極真空手を学んでいるときに知った総裁の言葉の数々に支えられてきたからです。中でも「千日をもって初心とし、万日をもって極みとする」には何度も何度も力を借りました。芸人を始めて15年が経ったにもかかわらず、なかなか結果を残せず苦しい日々が続いたあの頃もです。周りの芸人がどんどん売れていき、「自分はここで何をしているんだ?いつまでこのままでいるんだ?」と悔しくて、当時の自分は半分腐っていました。バイトばかりの日々で芸人を辞めることも考えようとしたとき、ふと総裁のその言葉を思い出したんです。そして自分の心に問いかけました。数々の伝説を作り上げてきた総裁でさえ、極めるためには万日が必要だと言っていたのに、自分はここで挫けてしまって本当にいいのか?と。それがきっかけで一念発起し、今でもありがたいことにこうして芸人を続けさせてもらっています。空手を辞めた後も、芸人人生の中で総裁の言葉が息づいているんです。

空手もお笑いも、極めるために必要なのは、逃げないこと。

芸人だけど極真空手の教えを大切にしていると言ったら、「お笑いと空手?全然別物じゃない?」と思われるかもしれませんが、実は共通点がたくさんあるんです。「逃げないこと」が大切であるというのもその一つ。そもそも僕が空手を始めたのは、柔道に打ち込んでいた17歳の頃でした。昼休みに部室の壁に極真空手の稽古生募集のポスターが貼ってあるのをふと見かけたとき、どうしてかそれが頭から離れなくて。気になったので稽古を見学しにいくと、ちょうど世界大会前の追い込み中でものすごい覇気が溢れていたのです。その雰囲気に圧倒されると同時に、ミット打ち一つにしても同じ人間に見えないくらい凄みのある姿に感銘を受け、「僕も強くなりたい」という一心ですぐに入門しましたが、尋常じゃないほど厳しい稽古など逃げ出したくなるようなことがたくさん待ち受けていました。初試合に挑んで顔面パンチを受けたり、指を骨折したり。緑帯のときに当たった相手が全日本出場者で、走ってその場を去りたいほど恐ろしかったり。でも逃げなかった。総裁が「極真は背中を見せない」と言っていたように、痛くても、怖くても逃げなかった。無心になって向き合い続けたことで自分の実力もついてきて、全日本に挑戦しようと思えるほど強くなることができました。そしてお笑いの道に進むことを決めた後も、空手で身につけた「逃げない姿勢」がとても役立ったんです。「バンジージャンプ飛んでください」と言われたときも、怖さを取り払って無心になることで引き受けられる。舞台の袖で自分の番を待っているときも、「スベったらどうしよう」なんて考えるのをやめて覚悟を決める。度胸と根性が必要な様々な場面で、逃げない姿勢が強みとなりました。でも一方で、「痛くても顔に出すな」という道場の師範代の言葉が染みついていたため、痛いリアクションや怖いリアクションができなくて「芸人なのになんで顔に出さないんだ」と怒られてしまったなんてこともありましたね(笑)。

万日まで、あと3年。節目に向け、まだまだ挑戦し続ける。

芸人になってから万日に向かってあきらめずにこれまで続けてきましたが、やっとあと3年でその万日に到達するところまで来ました。これまで長い長い道のりでしたが、続けてきたことそのものが自分の中で財産になっていることを感じます。だからこそ今改めて、極真空手に出会っていなかったら自分はどうなっていただろうと思うんです。極真空手は自分にとって、生きていく上での方位磁針だと言えるかもしれません。道場訓7番目にある「生涯の修行を空手の道に通じ、極真の道を全うする」という言葉のように、極真空手を学んできた一人の芸人として、総裁の教えはこれからも大切にしていきたいです。3年後、どんな景色が見えるか全く想像がつきませんが、一つ確かなことは、気を緩まずチャレンジし続けるべきだということ。迷った時は総裁の言葉を反芻しながら、自分にできることを更新していきたいです。

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YAMAMOTO YUKI